最後の恋


夜道に残された私達は、それからしばらく黙ったまま立ち尽くした。


「プロポーズ、されてたんや?」


静かな空気の中で先に口を開いたのは椎名だった。


「…されてたっていうか…電話でね、この間いきなり言われちゃって」

「そっか…でも…何で話してくれへんかったん」

「ごめん…ちゃんと断ってたし…話して心配かけたくなかったっていうか…」

「分かるで、言いたいことは。でも付き合ってるやん俺たち。隠さずに話してほしかった」


椎名はそう言うとハァッとため息をついた。

私は俯いたまま、何も言えなかった。


正直に話しておくべきだった?

もし話していたら、何て言ってくれた?


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