最後の恋


「おじゃまします」

「お疲れさま!適当に座ってて」


洗い物をしながら目と目が合うと、なんだか急に照れくさくなった。


「うん。っていうかめっちゃいいにおいする!何作ってるん?」


椎名はそう言うと、私のいるキッチンまでそっと近付いてきた。


「ハンバーグ⁉︎」

「あ、うん…キライ?」


少し不安になってそう聞くと、椎名はニッと笑って言ってくれた。


「めっちゃ大好きやで」


やっぱりこの顔。この笑った顔が…

私は好きなんだなって思った。


椎名の笑った顔を見ると、安心するようになった。

笑ってくれると、ホッとする自分がいる。

不思議だね。

付き合ってきた時間とか、そういうものは関係なく、こんなことを思うようになってるんだ。

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