最後の恋


この三日間の会社での嫌なことが全部消えていくような気がした。

私達しかいない、今のこの空間。

誰にも見られない、何も言われない、邪魔をされない空間。


二人でいられると、不安が消えていく。

椎名の笑顔を見ると、魔法にかかったみたいに幸せな気持ちになれる。


「めっちゃ美味しい!莉奈さんすげー!」

ハンバーグを食べながら、椎名はたくさん褒めてくれた。


「でも期待しないでね、それ以外得意料理ないから」

「じゃあ毎日これでもいい!これなら毎日でも食べれる!」


そう言って、綺麗に全部食べてくれた。


「洗い物は俺がするから」


そして食べ終わると、いいと断ったのに食器を洗ってくれて。


「ほんま美味しかった。また作ってな」


改めてまた、そう言ってくれた。


こういう優しいところも好き。

言葉がスーッと心に入ってくる。


私がもっと若かったらな…なんて思ってしまうけど、こうして一緒にいると年の差なんてやっぱりどうにでもなるんじゃないかって変な自信もでてきたりする。

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