最後の恋


「大丈夫?莉奈」

「平気平気〜!」


その日、私は久しぶりに酔っ払った。

頭の中にいろんなことが浮かんで、だけどそれを忘れてしまいたくて。

珍しく早いピッチでグラスの中のお酒をただひたすら空け続けた。


「じゃあまたねー!」



そしてみんなと別れた帰り道。

熱くなっていた顔を、冷たい風が冷やしていく。


なんだか泣きたくなった。


「…っ…」


いや、気がついたらもう泣いてしまっていた。


結婚とか出産とか、ほんとに面倒くさい。

そんなもの、なかったらよかったのに。


なかったらこんなにも…そのことで悩んだり傷ついたりしなくて済んだのに。


「…っ…っ…」


張り詰めていたものが切れてしまった。


我慢していたものが、溢れ出して止まらなかった。


私…どうすればいいんだろう。

結婚したいよ…椎名…


泣きながら携帯を手にした時だった。

どんなタイミングなのか携帯が鳴り響き、その相手が椎名だと分かると…酔っているせいか自分の気持ちが届いてくれたのかと錯覚してしまった。


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