最後の恋
「おかえり」
家に帰ると、今日もお母さんは起きて待っていてくれた。
時計を見ると、昨日と同じような時間だった。
「寝ててくれてよかったのに」
私がそう言うと、お母さん黙って水を入れて渡してくれた。
「莉奈、何かあった?」
「えっ?」
ふと目が合って、私は思わず逸らした。
泣いたこと…気付かれた?
「何もないよ」
「そう…。まぁ、莉奈ももういい歳だしいろいろあると思うけど。でも、あんまり無理しないでね」
「うん…分かってる」
私がそう答えると、お母さんはすぐにリビングから出て行った。
心配なんてかけたくない。
そう思っているのに…それができていない。
きっと、私の顔を見てお母さんはすぐにわかったんだと思う。
そりゃそうだよね…
自分が育ててきた娘だもん。簡単に分かっちゃうよね、泣き顔の痕くらい。