最後の恋
大晦日は、とても賑やかだった。
お兄ちゃん家族が帰ってきて、六歳の甥っ子と四歳の姪っ子が家にいるせいか、お父さんの目尻は下がりっぱなし。
兄の奥さんの詩織ちゃんは、お母さんとキッチンでおせち作りをしている。
「莉奈お姉ちゃんあそぼ!」
「うん、何して遊ぶ?」
「かくれんぼ!」
無邪気に遊ぶ子供達の遊び相手は私。
「じゃあお姉ちゃん鬼になるね。10数えるから隠れてよ!いーち、にー、さーん……」
来てからずっとこの調子だ。
かれこれ三時間くらいずっと遊んでいる。
「ちょっとお兄ちゃんそろそろ代わってよ」
「何だもう疲れたのか」
さすがに四時間が経とうとした頃にはギブアップ。
子供の体力についていけなくなった情けない29歳だ。
「お前、子供がいたらこんなの毎日だぞ?これくらいで疲れてちゃ、先が思いやられるな」
お兄ちゃんはそう言って笑う。
確かにそうだけど…そう思いながらやっとソファに腰をおろすとフゥッと深く息を吐いた。