最後の恋
「どんなやつなんだ?」
「ほっといてよ」
「何の仕事してるんだ?年齢は?」
本当うるさい。
「竜ちゃん飲み過ぎじゃない?そろそろ寝ようか」
詩織ちゃんが空気を読んでお兄ちゃんにそう言ってくれた。
「まぁでも俺はあれだな」
だけど、そんなのお構いなしにお兄ちゃんは勝手に話を続ける。
「あいついたじゃん、サトル。サトル結構好きだったけどなー」
「……」
「親父も母さんもお気に入りだっただろ?サトルのこと」
……えっ?
「まぁ…そうだな」
お父さんはそう言った。
「そうねぇ…」
お母さんもそう言った。
初耳だった。
お気に入りだったとかそんなこと、初めて聞いた。