最後の恋
「あ、すいません私です」
しばらくすると後ろからそんな声がした。
「あっ、そうだったんだ。ごめん、これミスが多いみたいなんだ…もう一度確認してから松永さんに渡してもらえるかな?」
「…えっ?ミスですか?私何度も確認したんですけど」
「いや、そうだとは思うんだけど…でも実際結構ミス出てるみたいだから」
皆川君と早川さんがすぐ後ろでそんな会話をしている。
ミスをしていたのは早川さんだった。
「本当にミスですか?嫌がらせじゃなくて?」
「えっ…」
早川さんのそんな言葉に、皆川君は言葉を返せなくなっている。
嫌がらせ?私がってこと?
仕事にプライベート持ち込むほど、私はバカじゃない。
「早川さん、自分で確認してから言ってもらえるかな」
振り返らずに、私はそう言った。
「仕事は仕事よ。ちゃんとやってくれなきゃ困るの」
「……分かりました」
フロアは、私達のせいかシーンと静まり返っていた。