最後の恋
寒さが本格的になってきた12月。
週末土曜日の夕方、ヘアアイロンを手にした私は鏡の前で丁寧に髪を巻いていた。
今日は、いつもより少しだけ特別な日。
だからなんとなく、普段よりも気合いを入れちゃっている自分がいた。
アイラインはいつもより太めかつ丁寧に引き、睫毛は昨日の仕事帰りにマツエクを付け替えにいったばかりだから、カールもボリュームも理想通り。
先週買った今冬限定カラーの口紅を最後に塗ると、私は口角をキュッと上げて笑顔を作った。
よし、完璧。
鏡を見ながら気分良く化粧を終えた私は、巻いた髪を綺麗に整えて部屋着からワンピースに着替えると、壁に掛けてある時計に目を向けた。
約束の待ち合わせ時間までは、あと1時間くらいだ。
そろそろ向かおう。