最後の恋
「ねぇ椎名…」
先に口を開いたのは私。
「何ですか」
「あの、ごめんね、まだ仕事してたのに」
「別にいいですよ」
そして椎名は、堅い敬語で言葉を返す。
「まだ怒ってるよね?」
恐る恐る、私はそう聞いた。
「何がですか?怒ってませんけど」
「怒ってるじゃん…」
「怒ってませんよ、松永さんどうしたんですか?」
「……何なの?どうして敬語なの?何で松永さんなの?怒ってないなら…普通にしてよ」
思わず声が大きくなり、騒がしい昼時の店内で一瞬の注目を浴びた。
目の前にいる椎名はとても冷静だった。
「とりあえず食べましょう」
そう言って運ばれてきたランチを食べ始める。