最後の恋
「ってぇ……」
赤くなった椎名の頬。
私の手形が薄っすらと浮かんでいる。
「ありがたいと思って下さいよ、プロポーズの婚約指輪が戻ってきたんですよ?感謝してもらいたいぐらいやわ」
椎名はそう言うと、その場から立ち去ろうとした。
「待ちなさいよ!」
「まだ何かあるんすか?」
気だるそうに振り返る椎名。
この姿が本当のあんただったんだ?
「本当に全部ウソだったの?」
言いながら、視界が滲んで行く。
「全部全部…そのゲームのためだったの?お金のため?」
スーッと涙が流れた。
「あの遊園地も、初詣の願い事も、全部ウソだったってこと?」
思い出して、胸が苦しくなった。