最後の恋



泣き腫らした目で会社に戻ると、誰もが驚いた顔をしていた。

仕事なんて手につかなかった。


落ち込むどころじゃない。

抜け殻のようだった。


ただの失恋じゃない。

もしかしたら、サトルと別れた時よりもショックかもしれない。


短い付き合いだったとはいえ、始めっから全てがウソ、ゲームだったなんて…いくらなんでもひどすぎる。

真実なんてなかった。

何ひとつなかったんだ…


気を抜いたら、仕事中でも涙がこぼれそうだった。

危ないと思ったら必死で上を向き、涙を止めた。


だけど、帰りの電車の中では我慢できずに泣いてしまった。


かっこ悪い。

情けない。

バカみたい。


バカだよ…本当にバカだ。

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