最後の恋


鞄の中から、あの指輪のケースを取り出した。

そしてそれを、私は泣きながら開いた。


サトルが選んでくれた指輪には、キラキラしたダイヤが輝いていた。


捨てられたと思っていた指輪。

だけど、私の元に戻ってきた。


椎名は捨てずに持っていたんだ。

ゲームが終わったら私に返すために。



ケースから、指輪をそっと取り出した。

指先が震える。

その度、指輪のダイヤがキラキラ光っていた。


私のために選んでくれた指輪。

サトルが、決意を込めて渡してくれた指輪。


やっぱり捨てちゃいけない。

捨てられない。

返すなんて失礼かもしれないけど…捨てることはできないと思った。


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