最後の恋
私はその夜、一晩中泣いて、泣き続けて朝を迎えた。
鏡を見るととんでもなくひどい顔をしていた。
それでも仕事には行かなければいけない。
「よしっ」
気持ちを切り替えてシャワーを浴びた。
もう涙は出ないんじゃないかっていうくらい泣いた。
大丈夫、私は大人だ。
強い。あんな奴のことなんて早く忘れてしまおう。
大人なんだから……大丈夫。
私は大丈夫…
自分自身に言い聞かせるように何度もそう思いながら仕事に向かった。
「おはよー!」
「あ、おはようございます!」
「おはようございます!」
会社に着くと、普段通りの私に周囲は少し驚いていた。
昨日は泣き腫らした目で昼休憩から戻り、帰るまでずっと暗かったからだろう。
「あ、皆川君、これまとめるのお願いできる?」
「はい!」
「早川さん、このデータ、半年間の累計出してもらっていいかな?」
「あっ…はい、分かりました」
「佐倉さん、会議資料もう部長に提出した?」
「あ、すいません今日出します」
「うん、お願いね」
私は強い。強いんだ。
私には仕事がある。仕事は裏切らない。
だから…今まで以上に精一杯働く。
ふぅっと息を吐き、パソコンを開いた私は時間も忘れて仕事に打ち込んだ。