最後の恋
ゆっくり歩きながら帰る家までの道。
幸せな結婚式のあとは、一人でいる今に余計に寂しさが増すような気がした。
家に着き、電気をつけるとふとこぼれたため息。
私はいつまで一人でいるんだろう。
そう思いながらどさっとソファに腰をおろすと、棚に置いてあるあのケースが視界に入った。
サトルに渡されたあの指輪。
まだ私は返せないままだった。
いつまでも持っていてはいけない気がした。
こうやって見る度に、胸が痛むからだ。
返さなきゃ、前に進めない。
ちゃんと終わらせなきゃ…ずっとモヤモヤしたままになる。
エリの結婚式の夜、そう決意して私は一人眠りについた。