最後の恋
「ごめんな、遅くなって」
「ううん、こっちこそごめんね急に」
結婚式の日からちょうど一週間後の日曜日。
私はサトルに電話をして、サトルの家の近くの公園まで来てもらった。
「寒くね?どっか行く?」
「ううん、いい。すぐ帰るから」
「そっか…」
ベンチに座っていた私の隣に、サトルはそう言いながら少し間をあけて座る。
夜の公園は、私達の姿しかなく、とても静かだった。
「あいつとなんかあった?」
先に口を開いたのはサトル。
「ううん、そうじゃないの。これをね、返しに来た」
そして私は、そう言いながら指輪のケースをカバンから取り出した。
「えっ、返さなくていいって言っただろ」
だけどサトルは苦笑いをしながら私の持つ指輪ケースから目をそらす。