最後の恋
話をしたり、歌を口ずさみながら向かう道のり。
日曜で休日だったけれど、高速も混雑することなくスムーズに進み、3時に着く予定だった実家に着いたのは、予定よりも30分早い時間だった。
「早く着いて大丈夫か?つーか俺、久しぶりだしマジでドキドキするんだけど」
近くの駐車場に車を停めると、サトルがソワソワしながらネクタイを締め直した。
スーツ姿のサトルは見慣れているけれど、この日は珍しくガチガチに緊張しているようだった。
「あ、そうだ」
「ん?」
「あのさ、お母さん達にまだサトルのこと話してないの」
「えっ?」
「紹介したい人がいるっていうのは話してるんだけど。だからお母さんもお父さんもビックリするかもね」
「えぇっ!?マジかよ!?どうしよう…何で俺なんだとか思われたら…」
弱気になっているサトルを見て私は笑ってしまったけれど。
「大丈夫だよ、お父さんもお母さんもサトルのこと気に入ってたみたいだから」
私がそう言うと、本当に?と、ホッとしたように笑顔になった。