最後の恋


「あれ、お父さんじゃね?」


そして駐車場から歩き出してすぐ。

家の前に立っているお父さんの姿を見つけたサトルが私の腕をトンッとたたいた。


「何で外にいるんだろ」


歩きながら近付いていく私達。

その姿に気がついたお父さんは、驚いた顔をしていた。


「何で外にいるの?寒くない?」

「えっ、あぁ、散歩してたんだよ散歩」


お父さんはそう言ったけれど、散歩していたようには見えない。

きっと、私達が来ることを待っていたのだと感じた。


「ご無沙汰してます」

「あ、やっぱりサトル君か?」

「はいっ!お久しぶりです」

「あはは、やっぱりそうだよな?しかしよく似てる顔だなぁと思ったけど本人だったとはな」



お父さんは上機嫌。

ニコニコ笑ってサトルを迎えてくれた。

サトルもホッとしたようだった。


そして家に入ると、慌ただしく玄関に出てきたお母さんはサトルを見て目をまん丸にして驚いていた。


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