最後の恋
「正月に帰ってきてた時、こいつが彼氏いるとか言ってたから本当か?って思ってたけど、まさかサトルだったとはな…ビックリしたよ」
「ははっ……すいません」
サトルはバツが悪そうに苦笑いをしている。
正月の頃には私達はまだよりを戻してはいない。
だけど、サトルはお兄ちゃんの言葉を笑って受け流していた。
「親父もずっとソワソワしてたんだぜ、なっ、親父?」
「ん?あぁ、まぁな」
「でも良かったわ、またサトル君に会えるなんて、嬉しいことじゃない」
「あぁ、そうだな」
お父さんは目を細めて笑っている。
お母さんも、本当に嬉しそうだ。
これでいい。
これでいいんだ。
「あのっ」
その時、サトルが改まったように正座をしたまま背筋をピンと伸ばした。
お父さんもお母さんもお兄ちゃんも。
そして、私も。
サトルのそんな姿に、思わず同じように背筋がまっすぐに伸びた。