最後の恋


それでも、動き出した話の流れは止まることはなくて。


「春がいいんじゃないか?でももう3月だしな…用意を考えたら5月あたりか?」

「6月もジューンブライドで素敵じゃない?」


結婚式はいつにするとか、場所はどこにするだとか。

私なんてまるでお構いなしに盛り上がる結婚話。


結婚の現実味が一気に増していく今、私だけが違う世界にいるみたいに思えてきてしまう。


結婚式のことなんて考える余裕がない。

挙げなくてもいいんじゃないとすら思えてくる。


だけど一生に一度だ。

親孝行のためにも、やっぱり結婚式はしたいと思う。


「日取りは私達が決めるってば」


無理矢理明るく振る舞いながら、みんなとの温度差を必死で埋めた。


私はサトルと結婚するんだ。

だから…振り向かない。



このまま、前だけを見て進めばいいんだ。

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