最後の恋


だけど、電話を切った直後。


履いたばかりの靴を脱ぎ、すぐに部屋に戻った私は…

目の前の鏡に映る姿をボーッと見つめると、張り切ってオシャレをしていた自分の姿がやけに虚しく感じられた。


ヘアアイロンでフワフワに巻いた髪。
着て行こうと思っていた、新しいワンピ。

だけど…残念ながら出かける予定はなくなってしまった。



そして、その直後。

手にしていたカバンの中からメッセージの受信音が聞こえた私は携帯電話を取り出して、その画面を確認すると、そこに映ったエリからのメッセージをジッと見つめた。




“莉奈!誕生日おめでとう!今日は式場との打ち合わせがあるから無理だったけど、また近いうちお祝いご飯行こう!今日はサキと楽しいバースデーを過ごしてね!”



サキとの約束がダメになっちゃったことを知らないエリ。



「ハァッ……」


なんて返せばいいんだろう…。

約束がキャンセルになっちゃったとか、わざわざ伝えるのもなんだし……

エリに気を使わせちゃったら嫌だしな…



悶々と一人で考えて。

返信する文字を作成していく。
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