ハニートースト ~カフェで恋したあなた~
「この子、康子ちゃん?よく名前だけは聞いていたけど、会うのは初めてだな」
片桐さんは、康子の顔を覗き込んで、何度も名前を呼ぶ。
「お~い、康子ちゃん。起きろぉ~」
10回くらい呼んで、やっと康子は少し動いた。
「ん・・・・・・」
康子の目が開いた。
「ひゃっ・・・・・・」
片桐さんの顔がすぐ近くにあったからか、康子は驚いて体を起こす。
「え??何、このイケメン?夢?何、何?」
と自分の顔を叩く。
そうだよね。
酔っぱらって、目覚めたらこんなかっこいい人がいるなんて、夢だと思うよね。
「そうそう、夢だよ。だから、ほら、起きて。俺の腕につかまって」
片桐さんは康子の腕を持って、康子を立たせて、出口の方へとゆっくり歩き出した。
気が動転している康子は、まだおかしなことを言っていた。
「え?何?夢なんでしょ?何これ」
私がお会計をしようとすると、片桐さんがポケットからお金を出して店員さんに渡した。
「マスターから頼まれたから。帰ったらちゃんとお礼言うんだぞ」
店の前に停まっていた片桐さんの車。
何回か見たことがあるけど、乗ったことはない。
片桐さんの車に乗れるなんて・・・・・・私こそ、夢みたい。