ハニートースト ~カフェで恋したあなた~
深夜のデートと片桐さんの秘密
-深夜のデートと片桐さんの秘密-
静かな夜だった。
遠くの方から猫の鳴き声が聞こえるだけで、他には何も聞こえなかった。
「今日の月も綺麗なんだよ。お前のおかげでこんな綺麗な月に会えた」
公園で車を停めた片桐さんは、窓を開けて月を見つめた。
月に会えたって表現がとても素敵だと思った。
片桐さんロマンチストだなぁ。
「実はな、今日は俺が助けられたんだよ」
またブランコに乗る私達。
「どういう意味?」
「ひとりでいるのが辛かった。すっげー辛くて、眠れなかった」
何があったんだろう。
私にそんな話をしてくれるようになったことは嬉しいけど、心配・・・・・・
「お前に話す内容でもねーんだけど!でも、お前にしか話せない、かな」
そう前置きをしてから片桐さんはゆっくりと話し始めた。
それは、私が聞きたくないような切ない話だった。
私と片桐さんは絶対に結ばれないと、決定づけられたような。
満月ではない月。
でも、それがまた美しくて泣けてくる。