ハニートースト ~カフェで恋したあなた~





片桐さんには好きな人がいた。



やっぱりあの人だった。




片桐さんの部屋であきら君が見つけた写真の女の人。




あれは大学時代の彼女だったんだって。





「何年も前の話なんだけど聞いてくれる?」





片桐さんは、落ち着いた口調で話してくれた。



でも、時々見せる表情が切なすぎた。






「俺のことは好きだけど夢の為に留学したいって泣きながら言われたんだよ。俺はそれを信じてさ。バカみたいに悩んで・・・・・・」




別れを告げられた片桐さんは悩んだ末に、納得行かなくて空港まで見送りに行った。


そこで、やっぱり別れたくないと言うつもりだった。






「まさかの展開だろ?」




片桐さんは白い歯を見せて笑顔を作ったけど、悲しそうな目をしていた。




そこで見たのは、彼女と一緒にいる外国人の男性だった。





彼女が留学する理由は、その人と一緒に住む為だった。




彼女が外国に行ってから、周りの女友達からいろんな話を聞かされた。





片桐さんと付き合っている時に、外国人の彼氏ができた。



どっちも選べなくて、二股をかけていた。




片桐さんに嘘をついて、その彼と出かけていたことも度々あったんだと後から知った。




「すっげー腹立つんだけど、憎めねーんだよ。そんな自分にも腹が立つ」







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