ハニートースト ~カフェで恋したあなた~
現実を受け止めなきゃいけない。
私はもう大人だ。
片桐さんに恋をした中学1年の私じゃない。
受け止めなきゃ・・・・・・
片桐さんには好きな人がいた。
私と同じように何年もずっと想い続けていた。
もうだめなんだ。
私の想いは届かない。
自分に何回も何回も言い聞かせているのだけど、とても難しい。
どう受け止めていいのかわからない。
今まで彼女がいても平気だったのは、本気じゃないってわかってたからだ。
片桐さんに家まで送ってもらう途中、
「そういえば、さっき初恋とか言ってなかった?」
と・・・・・・聞かれてしまった。
「あ、そうそう。小学校の頃ね。片桐さん、超かっこよくて憧れてたって康子に話したから」
軽くそう言って、ケラケラと笑ったみた。
「ま、俺ってかっこ良かったからな」
片桐さんも笑った。
これでいい。
これで片桐さんとの関係も崩れない。
片桐さんを苦しめることもない。
これでいいんだ。
私はもう、好きって気持ちを封印するべきなんだ。
すぐにあきらめることができないなら、とりあえず、心の奥にしまっておこう。
この“好き”って気持ちを。