ハニートースト ~カフェで恋したあなた~
「ちょっと、優・・・・・・もう、見てらんねぇ・・・・・・」
私の腕を力強く引っ張ったのはあきら君だった。
「あの、俺が口出しするのはおかしいですけど、ちょっといいですか?」
「おう、あきら。どうした?」
「片桐さん、その人と付き合うんすか?」
あきら君、怒ってる・・・・・・
そうだよね。
「それはわからないけど・・・・・・もう過去の話だし」
「でも、戻れるなら戻りたいんじゃないですか?片桐さんは」
お父さんは聞いていないフリをして鼻歌を歌っていた。
店には他のお客さんはいなくなっていた。
「どうかな。わかんねーな。そうなったら嬉しいけどさ」
そうなんだ。
やっぱり、そうなんだ。
私には絶対聞けなかった。
怖くてそんな質問できないよ。
あきら君は、それを知って、代わりに質問してくれたんだと思う。