ハニートースト ~カフェで恋したあなた~







店の前の公園の片隅に、ふたりの姿があった。




背の高いふたりが向き合っていた。






「じゃあ、女として見てやってくださいよ」




あきら君の声が聞こえた。




う・・・・・・


私のことだよね。



この展開、入りにくいよ。







「あきら、お前・・・・・・自分が素直になれないからって俺に当たるなよ」






片桐さんはいつもの口調でそう言った。




いつまでも盗み聞きしているわけにもいかない。







「あの!!あきら君、そろそろお店が・・・・・・!!」







同時にふたりが驚いた顔で私を見た。





私は、何も聞いていませんでしたって顔をして微笑んでみる。






「優・・・・・・」




「優海・・・・・・」






ふたりの素敵な男性が、私のことを心から心配してくれている。






そんな顔をしていた。







でも、複雑・・・・・・



ふたりが私を取り合っているってシチュエーションじゃない。




ふたりとも、私じゃない人を好きなんだ。








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