ハニートースト ~カフェで恋したあなた~
「本当だったら、今俺はチャンスなわけだろ?片桐さんに好きな人がいるってわかったんだから。でも、俺は別に優に俺を好きになって欲しいとは思わないんだ。負けずに片桐さんを想い続けて欲しい」
どうして?
どうしてなの?
私をこの苦しい恋から救い出してくれるのは、あきら君だったのかもしれないのに。
あきら君は、私を奪いたいとは思わないの?
「あきら君を好きになれたら・・・・・・いいのに」
口から自然に出たその言葉。
小さな声だったけど、あきら君に聞こえてしまった。
「はぁ?何、それ。妥協?お前、最低だな」
「ごめんなさい!!そんな意味じゃないの」
「俺を好きになろうとか思ってんの?バッカじゃねーの。つーか、そんなこと思ってるお前は好きじゃない。頑張って頑張って片桐さんのこと追っかけてるお前が好きだったのに」
また傷つけてしまった。
暗い公園に響くあきら君の声。
街灯の下だったから、あきら君の顔がはっきり見えた。
怒らせてしまったね。
でも、本心だった。
どうにもならないこの気持ちを、あきら君ならどうにかしてくれる気がしたんだ。
片桐さんしか好きになれない私だけど、もしも他の誰かを好きになれるとしたらそれはあきら君以外にはいないと、そう感じたんだよ。