ハニートースト ~カフェで恋したあなた~
「ちょうど良かった。お前がそんなバカなこと言うから、本気でお前のことあきらめることができた。は~、お前がバカで良かった」
あきら君はそう言って、私の頭をバシバシと叩いた。
これもあきら君なりの優しさ。
私を気遣って、平気なフリをしてる。
本当は、泣きたいくらい悲しいのかもしれない。
心の中では泣いているのかもしれない。
「あんまり会えなくなるけど、元気でね」
しんみりしちゃう。
こんな風なさよならは嫌だ。
もう二度と会えないような気がしてくる。
「たまには会えるだろーが」
そう言ったあきら君だけど、大学受験もあるし、バイトも減らすって言ってたし。
会えなくなるよ。
寂しいけど・・・・・・お互いの為にその方が良かったのかな。
「あきらめんなよ。片桐さんのこと」
「うん。頑張るね」
「俺がいなかったら、どうなっちゃうのか心配だけど、しっかり頑張れよ。俺が今日片桐さんと話して感じたことは、片桐さんにとってお前は、めちゃめちゃ大事な存在だってこと。片桐さん自身、それにまだ気付いてないだけだよ」
と、この上ない嬉しいことを言ってくれて、あきら君は私に手を振った。
ばいばい、あきら君。
もうあきら君に頼るのはやめるね。
ごめんね。
今まで。
全然気付かなくて。
そんなにも温かくて、優しい愛情に包まれていたんだね、私は。
いつもいつもありがとう。
本当にあきら君、ありがとう。
もしも、私がもうひとりいたら、絶対にあきら君と恋をしたいと思う。
またこんなことを言うとあきら君に怒られちゃうね。