ハニートースト ~カフェで恋したあなた~
「優海、ちょっと話せる?」
私はコクンと頷いて、もらった絵を胸に抱きしめた。
家からすぐのバス停のベンチに腰掛けた。
嬉しいのに、なぜか不安に襲われた。
何を話すんだろう。
もしかして、結婚するとか、そんな話だったらどうしよう。
もう涙は止まっていた。
片桐さんは、私の涙には気付いていないみたいだった。
「は~、ハニートースト食いてーな」
いつもの元気な声に戻った。
「食べに来てよ。全然来てくれないから・・・・・・」
「そうだな。何度も行こうと思ったけど、勇気が出なくて」
「新作も増えたんだよ。ずっと待ってたのに」
“小雪舞い散るカプチーノ”と“雪どけワッフル”がメニューに加わった。
クリスマスもお正月も過ぎたんだよ。
もうすぐ春がやってくるよ。
片桐さんが来てくれないから。
季節がもう変わってしまうよ。