ハニートースト ~カフェで恋したあなた~





「眠かった?」




派手にあくびをする私に、その人は苦笑いを浮かべながら声をかけた。





「え、あははは。すいません」




「いいよいいよ。俺もノートとってないと、眠くなるからね」




「そうなんですか?すごく真面目に聞いてたじゃないですか」




「そう見えた?なら、俺の演技力だね」







すごく話しやすい人だった。




片桐さんやあきら君のようなSっぽさはなく、紳士的な人。




いつもこうして、男の人を見ると片桐さんと比べていた。



でも、今は・・・・・・あきら君とも比べてしまう。






「良かったら、お茶でもどう?駅前に美味しそうなケーキ屋があるんだけど、男一人じゃ入りづらくて」





とても自然な誘い方だった。




これが計算だとしたら、ものすごく女の扱いに慣れている人だと思うけど。



本当に、ケーキが食べたいだけのように感じたんだ。







「ケーキですか!私も好きなんでぜひ連れて行ってください」






私も成長したなと思う。



今までの私ならありえなかった。




少しいいなと思っている人に誘われてもなかなかOKを出さなかった。






康子の言うように、世の中にはいろんな男性がいる。




少しは勉強した方がいいよ、と何度も言われていたっけ。








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