ハニートースト ~カフェで恋したあなた~
いつの間にか、私は米田さんのことを“航太郎さん”と呼ぶようになっていた。
航太郎さんは、私のことを“優海さん”と呼ぶようになった。
いつからかわからないけど自然にそうなった。
康子に指摘されてから、いろいろ考えてみた。
この気持ちは何だろうかと。
答えは出ないけど、絶対に恋ではなかった。
航太郎さんが他の誰かと付き合っても、キスをしても、結婚しても
別に気にならない。
片桐さんだったら・・・・・・すっごく悲しい。
だけど、もしも航太郎さんと結婚したら、と想像した時・・・・・・
私の頭の中には、とても違和感なく、航太郎さんとの生活が描かれていた。
恋愛と結婚は違うっていうのはこういうことなの?
ドキドキして、ハラハラして、眠れなくなるくらいに切ないあの想いは間違いなく恋。
だけど、その恋は・・・・・・実らない。
実ったとして、私は片桐さんと結婚してもうまく行かないんじゃない?
そんなことを考えてしまうようになった。
無理してる。
私はきっと無理してる。
無理して・・・・・・忘れようとしてる。
寂しいから。
片桐さんに会えないから・・・・・・
もうだめだから、他の人にしなよ。
もう一人の私がそう言うんだよね。
そんなある日、あきら君と会うことができた。