ハニートースト ~カフェで恋したあなた~
「何か怪しくねーか?最初にそんなこと言うなんて、余計狙ってる感じがするけど」
康子と同じ見解だった。
やっぱり、航太郎さんのことは誰にも言うべきじゃないな。
とてもいい関係なのに、誰もわかってくれないもん。
「お前、好きになろうとか思うなよ。それって、逃げてるだけだから」
そうだね。
楽になれるかもしれないけど、きっと一生後悔する。
片桐さんへの想いを断ち切ることはできない。
「わかってる。私には、片桐さんしかいないもん」
「よし、それでいい」
乱暴に頭を撫でられた。
あきら君は、安心したからもう帰ると言った。
せっかく会えたのに、もうさよならなんて寂しくなる。
次にいつ会えるかわからない。
「受験頑張ってね。今日は会いに来てくれてありがとう。本当に・・・・・・」
「別にお前に未練があるわけじゃねーぞ?」
「わかってるよ。でも、めちゃめちゃ寂しくて、すっごく会いたかったんだから」
「天然バカに教えてやるけど、そういうことを軽々しく男に言うもんじゃねーぞ」
久しぶりにあきら君に頭を叩かれた。
懐かしい。
変わってなくて、安心した。
大事な人。
友達とも違う、ただのバイト仲間でもない。
何と表現していいのかわからない存在だけど、本当に大事なんだ。
「これからも俺はお前と片桐さんのこと応援してるから」
そうだ。
“私の恋の応援団”だ。
たったひとりの応援団。
あきら君ありがとう。
やっぱり、片桐さんのことあきらめたくない。
気付かせてくれてありがとう。