ハニートースト ~カフェで恋したあなた~
『もしもーし。片桐と申します』
うわ~、片桐さんの声だ。
電話だと、少し高く聞こえる。
新鮮だな。
ものすごく近く感じる。
「あ、優海です」
『お前、面白すぎ。いつの時代の人だ??』
片桐さんは必死で笑いをこらえながら話している。
『ビームって何だよ。赤外線ビームなんて初めて聞いたぞ。それに、なんで全部敬語なんだよ』
「ビームじゃないの?」
『はははは。ビームでいいよ。お前はそのままでいい』
お前はそのままでいい、なんて。
すごく嬉しい言葉。
『今から会わない?』
突然のお誘いに・・・・・・
興奮して何も答えられなかった私に片桐さんが言う。
『今から行くから』
一方的に電話を切られた。
こういうところも、なんだか好き。
男らしくて、大好き。
声を聞くと、溢れだすね、想いが。
航太郎さんのことも、あきら君のことも頭から消えていた。
片桐さんが好き。
ただそれだけだった。