ハニートースト ~カフェで恋したあなた~
いつもは安心感に包まれていたこのふたりの空気が、今は凍りつきそうだ。
「久しぶりだね・・・・・・」
そう声をかけるのが精一杯だった。
航太郎さんは驚いたような表情で私を見た。
「あ、うん。ちょっと風邪引いてしまって」
と、わかりやすい嘘をついた。
いつものように隣に座って、いつものように授業を受ける。
航太郎さんとは、もう前のようには戻れない。
そう実感した1時間だった。
「ちょっと話せるかな?」
航太郎さんから声をかけてくれた。
「はい。私も話したいと思ってたんで」
私達は学校の最上階にある勉強室へ行った。
そこはみんなが静かに勉強している場所だ。
一番奥に喫茶スペースがある。
そこで話すことにした。
「航太郎さん、この前は急に帰ってごめんなさい」
あの時にちゃんと気持ちを伝えるべきだった。
走ってその場から逃げてしまったことを後悔していた。
「いや。俺があんなこと、言ったから・・・・・・」
「ちょっとびっくりして・・・・・・逃げてしまったんです」
と少し笑ってみた。
「ははは。そうだよ。俺もびっくりしたよ。ちょっとした冗談だったのに」
え?
冗談?
あれが冗談?
そんな・・・・・・