ハニートースト ~カフェで恋したあなた~
「お茶でも買ってくるから待ってて」
片桐さんは、エンジンをかけてから、車を降りた。
私は今のうちにしっかり息を吸おうと、深呼吸をした。
今日の片桐さんはいつもと違う。
車の中で何を話せば良いんだろう。
「これでいい?」
ペットボトルのお茶を買って戻ってきた片桐さんは、いつもの片桐さんに戻っていた。
「夜の遊園地、なかなか面白いな」
「うん。楽しかった!!ありがとう」
「いつも夜で悪いけど。今度はちゃんと昼間に店に顔出すから」
本当は、休みの日に一日デートがしてみたい。
でも、そんなことは言えなくて。
「春の新作がまた出るから食べに来てね」
「おう。新作は絶対食べる。ハニートースト桜餅乗せ、とか?」
「あはははは。それいいね~。お父さんに言っておくね」
「でも、うまくなさそう。ふふ」
と店員とお客さんの会話をして、家に到着してしまった。