ハニートースト ~カフェで恋したあなた~
「おーっす。なんか、おごれ」
今日は、バイトの日じゃなかったけど、あきら君にお礼が言いたくて店に出た。
「何でもおごります」
「じゃ~、新作のハニートーストと・・・・・・俺が二十歳になったら酒飲ませて」
いつも通りのあきら君だった。
「うん。わかった。昨日は本当にありがとう」
「マスターに聞いたよ。付き合うことになったんだって?」
あきら君は、ニヤニヤしながら、私に近付いてくる。
あきら君が昨日言ったことはどこまでが本当なんだろう。
気になるけど、聞けなかった。
「片桐さん、鈍感なんだから。多分、もっと前から優のこと好きだったと思うよ。自分の気持ちに気付いてなかったんだよ」
「そうなのかな。まだ信じられない。夢みたいだよ」
「俺の作戦、良かっただろ?マスターにも協力してもらったんだよ。買い出しとか別にいらなかったのに」
いちごの買い出しは、私を外に出させる為だったんだって。
片桐さんが店を出る時間を見計らって、あきら君は私を抱きしめた。
「片桐さんが見て見ぬふりしてたらどうしたの?」
「え?それは・・・・・・う~ん。そんな弱虫な男だったら、俺が優をもらう、かな」
「え?」
「嘘だよ。昨日言ったことも全部嘘だし。片桐さんが優のこと好きって確信あったし、大成功だよ」
全部嘘だとは思えなかった。
でも、何も言えない。
あきら君は、美琴ちゃんと新しい道を歩んでいて。
私は片桐さんと、ようやくスタートラインに立った。