ハニートースト ~カフェで恋したあなた~
片桐さんに会えば、あきら君のことを考えることはない。
会っている間は、片桐さんのことしか考えられない。
メールや電話があるだけで、あきら君のことは忘れちゃうんだけど・・・・・・
ふとした瞬間、あきら君の笑顔が浮かぶ。
あの優しくていじわるな声が聞こえる気がする。
恋愛で悩んだ時は・・・・・・
友達に相談するしかない。
私は恋愛経験が少なくて、よくわからない。
「優海、ぜいたくだよ~」
ワインを片手に康子が笑い出す。
「笑わないでよ~、真剣に悩んでるのに」
「誰でも、手に入らない物が良く見えるんだよ。今までは片桐さんが手の届かない人だったから、あきらのことなんて見えてなかっただけ。片桐さんの彼女になったから、今度はあきらが気になる。ま~、よくあることよ」
康子は軽くそう言って、チーズを口へ運ぶ。
よくあること・・・・・・
そうなのかな。
私って、最低じゃない?
手に入ったら、違う人が気になるなんて。