ハニートースト ~カフェで恋したあなた~
どう話していいのかわからなかった。
どこまで話すべきなのかもわからない。
私は、今日あきら君と会ったと言った。
私から電話をしたことも言った。
今までずっとあきら君に相談していたから、もう頼れないと思うと寂しかった、と言った。
片桐さんは静かに聞いていた。
かすかに指先が触れ合っていた。
「私が好きなのは片桐さんだけだって気付いたの」
「・・・・・・安心した。ちゃんとあきらと話してくれて良かった。実は、すっげー気になってたから」
片桐さんは、顔をくしゃくしゃにして笑った。
「恥ずかしいけどさ、俺ってやきもちやくんだな」
「今までは、違ったの?」
「ああ。今までこんな気持ちになったことねーんだよ。だから、モヤモヤしてて・・・・・・実はしんどかった。会えない間にいろいろ考えて、不安になった。でも、今日みゆきに会ってわかったんだ。優海も不安なんだって。俺なんか、もっとたくさん過去があって。みゆきのこと忘れられなかったってこともお前に話しててさ。そんなの聞かされて、気にならないわけないもんな」
片桐さんはゆっくりと手を伸ばして、私の首の後ろに回す。
「おいで」
優しく抱きしめてくれる。
この人が大好きだ。
もう、迷わない。
この腕が好き。
この声が好き。
この温度が好き。