ハニートースト ~カフェで恋したあなた~
「大丈夫?」
「ああ、別にたいしたことじゃないんだけど、自分で自分が情けなくなった。俺ってこの仕事向いてねーんじゃないのか、とか・・・・・・やっぱり絵が描きたいとか、そんなバッカみたいなこと考えてて」
「バカみたいなんかじゃない!!」
大声を出してしまった。
だって、絵を描きたいと思うのは全然バカみたいじゃない。
私は知ってるから。
片桐さんがどれだけ絵が好きか。
「優海ちゃん・・・・・・」
画家になる夢をずっとずっと持ち続けて欲しいと思った。
片桐さんから、絵が描きたいって言葉が聞けて、今嬉しかったんだもん。
「だって、片桐さんの夢でしょ?絵を描くことは。だから、バカみたいじゃない・・・・・・と思う」
「はは。ありがとな。そうだよな。夢は持ち続けていいんだもんな」
「そうだよ!それに、仕事で失敗して落ち込むのも素敵だと思う!失敗しても平気な人だっているもん。反省して、また次につなげればいいんだもん」
あまりの勢いに、片桐さんは苦笑いを浮かべながら言った。
「優海ちゃんも大人になったんだな」
「もうとっくに大人だもん」
片桐さんは、ごめんごめんと言って、眉を下げた。