ハニートースト ~カフェで恋したあなた~
母親はというと、私が中学1年の時に亡くなった。
破天荒な母だったが大好きだった。
お酒をよく飲んでいたせいかどうかわからないけど、病気が見つかってから1年で亡くなった。
「最近、来ないよな。片桐さん」
あきら君は、独り言のようにボソっと呟いた。
返事をしない私に、もう一度言ってくる。
「かーたーぎーりーさん!来ないなっ!」
やけに嬉しそうなあきら君の表情にムカっとして、また無視をする。
「彼女でもできたんじゃねぇの?」
22歳の私と17歳のあきら君。
どうして“あきら君”なんて君付けしているんだろう。
「うるさい!ちゃんと仕事しなさい!」
「は~い!おばさん!」
「キー!!ガキのくせに生意気!」
あきら君は、バイトの中で唯一の男の子。
私が一番仲の良いバイト仲間でもある。
綺麗な顔立ちをしているのに口が悪い。
黙って仕事をしているとなかなかの美男子なんだけど。
「なあ、優。おばさんって言ったこと怒ってんの?」
「ふん」
私、岡山優海【オカヤマユウミ】
年下のあきら君に“優”なんて呼ばれてるんだけど、結構心地良い。