ハニートースト ~カフェで恋したあなた~





「その受付嬢のこと、好きだったんすか?」




あきら君がまたその女性に話を戻す。




「好きになれるかと思ったけど、ただ綺麗なだけだった。彼氏いるのに俺に連絡先渡してくるなんてありえないよ」





「片桐さんから声かけたんじゃないんですか?」






私が聞きたかったことをあきら君が聞いてくれた。




私もてっきり片桐さんから声をかけたんだと思っていた。






「俺もかわいいな~って思ってたんだけど、向こうから連絡先を渡して来たんだよ。で、今度食事でも連れて行ってくださいって言われたんだよな。そりゃ、誰でも行くっしょ?」





あきら君は、それはそうですねと言い、片桐さんの隣に腰掛けた。





「ちょっと休憩いいっすか?」



お父さんは、少しだけだぞと言って、あきら君にコーヒーを出した。



まだブラックが飲めないあきら君は子供のような大人のような不思議な子。






「俺だったら、彼氏から奪っちゃいますけど」




「あきらはまだガキだな。奪う価値のある女だったら奪うよ。俺だって」





片桐さんにとって“奪う価値のある女”ってどんな女性なんだろう。







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