ハニートースト ~カフェで恋したあなた~
「この前の会社の女の人は、どうなんですか?」
あきら君は、私の気になることを全部聞いてくれる。
「あ~?誰?」
「この前店に来た人。結構綺麗でしたよね」
片桐さんは、眉をしかめた。
「アイツ?あ~、マジ勘弁!!あれは、絶対ないない」
ライバルだけど、少し同情してしまう。
あそこまで言われると、かわいそうだなと思ってしまう。
「何でですか?」
「嫉妬深いし、プチストーカーだし、仕事できねーし、胸もないし。はっはっは~」
片桐さんの新しい一面を見た気がした。
女の子のこと、そんな風に言っちゃうんだ。
ちょっとひどい・・・・・・よね?
「嘘だよ。告白されたけど、断った。そしたら、会社辞めたんだ」
笑っていたあきら君も一瞬固まった。
「まじですか?」
「ああ、俺が悪いのかな。でも、仕方ねーじゃん」
モテるって良いことばかりじゃないんだね。
片桐さんはモテることで、たくさん損もしてきたのかもしれない。
あきら君のおかげで、気になっていたことが全部スッキリした。
でも、私の心の中にいる片桐さんは、また少し遠くに行った気がした。