ハニートースト ~カフェで恋したあなた~
次の週まで片桐さんは店に来なかった。
結局、片桐さんの好きな人が誰なのか、わからないまま。
好きな人がいるのかいないのかもわからない。
受付嬢でも、会社の後輩でもなさそうだった。
でも、まだまだ片桐さんの私生活はナゾだらけだもん。
その辺の話をしたいのに
あきら君も休みだからつまんない。
「よ~、バカ優!俺に会えなくて寂しかったか?」
あきら君、最近片桐さんに似てきた気がする。
片桐さんもよくそういうセリフ言うもんね。
「全然寂しくなかった。ふふ~」
笑顔で答える。
「ねぇねぇ、あきら君って好きな人いるの?」
片桐さんと同じで、あきら君も常に誰かから想われているんだよね。
告白もしょっちゅうされてるし、彼女っぽい子はたくさんいる。
「俺のこと好きな子は100人くらいいるけど」
と、また片桐さんっぽいことを言う。
「あきら君って、片桐さんに似てきてない?」
「バッカ!俺はあんなに自信家じゃねーよ」
少し顔を赤らめて怒鳴るあきら君。
少なからず意識してるんだよ、きっと。
「いや、充分自信家だよ」
あきら君に憧れている子達からすれば、私ってものすごくうらやましい位置にいるんだろうな。