ハニートースト ~カフェで恋したあなた~
「片桐さん、どうして今日落ち込んでたの?」
「もう忘れた。ってのは嘘だけど、酔ってから話そうかな」
何があったのかな。
仕事でミスしたのかな。
失恋とか?
まさか、そんなことを私には話さないよね。
「店、どんなとこがいい?」
片桐さんとこうして並んで歩くのも、大人になってから初めてだった。
背、高いなぁ。
やっぱり、かっこいい。
「お任せします」
「そう?じゃあ、ちょっと大人なバーでも行く?」
片桐さんは慣れてる。
女性を連れて行くお店はたくさん知っているんだと思う。
何人の女性とお酒を飲んだことがあるんだろう。
あきら君が言ってたみたいに、そのままホテルとか行っちゃうのが普通なのかな。
「優海と飲むって変な感じだけど、たまにはいいな」
「片桐さん、私なんかと飲みに行って楽しいのかな」
心の声がつい出てしまった。
「な~に、言ってんのぉ?俺が誘ったんじゃん。俺がお前と飲みたかった。だから、それで良いんだよ」
大きな手で頭の後ろをグイっと掴まれる。
そのまま横に頭を揺らす。