ハニートースト ~カフェで恋したあなた~




「片桐さん、どうして今日落ち込んでたの?」





「もう忘れた。ってのは嘘だけど、酔ってから話そうかな」





何があったのかな。


仕事でミスしたのかな。


失恋とか?


まさか、そんなことを私には話さないよね。






「店、どんなとこがいい?」





片桐さんとこうして並んで歩くのも、大人になってから初めてだった。



背、高いなぁ。



やっぱり、かっこいい。




「お任せします」




「そう?じゃあ、ちょっと大人なバーでも行く?」





片桐さんは慣れてる。




女性を連れて行くお店はたくさん知っているんだと思う。




何人の女性とお酒を飲んだことがあるんだろう。




あきら君が言ってたみたいに、そのままホテルとか行っちゃうのが普通なのかな。






「優海と飲むって変な感じだけど、たまにはいいな」




「片桐さん、私なんかと飲みに行って楽しいのかな」




心の声がつい出てしまった。




「な~に、言ってんのぉ?俺が誘ったんじゃん。俺がお前と飲みたかった。だから、それで良いんだよ」






大きな手で頭の後ろをグイっと掴まれる。



そのまま横に頭を揺らす。





< 62 / 300 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop