ハニートースト ~カフェで恋したあなた~
薄暗いこのバーの中で見る片桐さんは、今まで私が知っている片桐さんじゃない。
横顔を見つめる。
「どぉしたの?もう酔った?」
首を45度傾けた片桐さんが、私の頭に手を乗せた。
「顔、赤いぞ。大丈夫か?」
と、私の頬に触れる。
余計に赤くなる。
どうしよう。
「ちょっと熱いぞぉ?まだ半分しか飲んでねーのに。かわいいヤツだな」
片桐さんは私の頬をつねる。
優しく。
もう、だめ。
本当に、ドキドキする。
このまま時間が止まればいいのにと本気で願う。
もっと・・・・・・つねって。
と心の声が聞こえたのか、片桐さんはもう一度私の頬をつねった。
「送ってくから安心しろ」
片桐さん、どうすれば女として見てくれる?
私は、片桐さんの心の中のどの部分にいるんだろう。
片桐さんは、私のことを思い出すことがある?
私は、一日中・・・・・・片桐さんのこと考えてるよ。
会えた日も、会えなかった日も・・・・・・いつも想ってる。
元気かな、どうしてるかな、って。
彼女がいても、いなくても、どっちでも良かった。
どんな片桐さんでも大好きだった。
中学1年の女の子の恋は、結構本気なんだよ。
あの時感じたときめきは今でもはっきり覚えてる。
きっと、今感じたときめきも・・・・・・
おばあちゃんになるまで覚えてる。