ハニートースト ~カフェで恋したあなた~
「は~、やっぱり、お前といると落ち着くわ」
片桐さんは、カクテルグラスを店員さんに渡した後に、私をチラっと見ながら言った。
“お前といると落ち着くわ”
そんな言葉を彼女でもない女の子に言っちゃだめなんだよ。
片桐さん、鈍感だよ。
「妹・・・・・・だもんね。私は」
「俺の大事なかわいい妹。お前ってなんでだかわかんねーけど、俺の中で気になる存在なんだよ」
今日の会話、全部録音しておきたいと思った。
泣いちゃうくらい嬉しいことばっかり言ってくれる。
気になる存在って・・・・・・どういう意味だろう。
私は天然バカ処女女だから、よくわかんないよ。
「優海には絶対に幸せになって欲しい。おばさんもそれを願ってるから」
おばさんというのは私のお母さんのこと。
片桐さんは私の父だけじゃなく母とも仲が良かった。
「片桐さんはどうしてうちの店に来るようになったの?」
「最初は偶然だったんだよな」
片桐さんは、目を細めて天井を見上げた。
懐かしい昔を思い出すような表情で話してくれた。