ハニートースト ～カフェで恋したあなた～

「滋さんに今の気持ち、正直に話した？」




「素直になれなかった。もう私のこと好きじゃないと思う」






付き合いが長ければ長い程、素直になるのは難しいのかもしれない。







「滋がいなきゃ、他の男探しもする気になれないよ」





勝手だってわかってるけど、と康子は言った。




滋さんがいるのに、いつも新しい男を探し求めていた。



コンパやお見合いパーティーにも積極的に参加していた。




今までも、他の男性から何度も告白されてきた。





それでも、滋さんを切らなかったのは、やっぱり･･････滋さんが大事だったから、なのかな。







「もう一度やり直したいの？康子は」





「わかんないけど。嫌なの。こんな風に別れるのは」







珍しく日本酒なんて飲んでる康子は、べろんべろんに酔っぱらって、何度も同じことを繰り返し言っていた。



“滋がいいの”と。






この声を、滋さんに聞かせてあげたかった。




そうすれば、滋さんは戻ってくるかな。




それとも別れた理由は他にあるのかな。