片思いしてます
教室に着くと、クラスメートがそばに寄ってきた。




「ねーさっき駅で一緒にいた人って咲田さんの彼氏?」



「えっ?」



「さっき駅でスーツ着た人と何かはなしてたでしょ」


「年上?」


「すごいね、どこで知り合ったの」



質問が次から次に浴びせられる。



航也さんのこと言ってるんだ。



でも、航也さんは彼氏なんかじゃない、ただの知り合い。



私は、黙り込む。



「琴子の親戚の人だよ。一緒の電車なの」


結衣の助け舟。



「なーんだ」



クラスメート達は、残念そうに私の前から消えた。




「ありがとう」


「いいよ、でもちゃんと違うことは違うって言っておかないと噂が広まるよ。
女子高なんてそういう話しに飢えてるから」


「…うん」


「…スーツの人って航也さんでしょ?」


「うん…」


「どうしたの?何かあった?」


「…うん」


「また昼休みね」



結衣は自分の席に戻っていった。

< 108 / 124 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop