片思いしてます
私の隣に航也さんが座る。




鍋から湯気があがっている。



「いただきます」



みんなで鍋を食べ始める。



私は、冷蔵庫からビールと、ジュースを出しに行く。



「ごめん、琴子。うっかりしてた」



母が、私と一緒に飲み物を運ぶ。



「川北さん、すいません。乾杯するの忘れてました」



母が、川北さんのグラスにビールをつぐ。



「川北さん、オレンジジュースでいいですか?」



私は、隣に座る航也さんに声をかける。



「ありがとう」



航也さんがコップを持つ。



「琴子ちゃん、航也も私も川北さんだったらややこしいから、航也のことは航也でいいよ、なんならお兄ちゃんでも」


私は、愛想笑いをする。



相変わらず陽気な人。



母も一緒に笑ってる。




心の中では、もう航也さんって呼んでるし。




それもそうだね、2人が一緒の時はややこしい。




「琴子ちゃん、父のことは気にしないで。呼び方なんてなんでもいいから」



航也さんが言ってくれた。



「そしたら、航也さんでもいいですか?」


「…いいよ」



航也さんは驚いた顔をしたけど、すぐに笑顔を見せてくれた。
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